WORK SHOP# 65│ブックトークカフェ「悪い本、あつまれ!」

月1回、COSUGI COBOで開催している読書会「ブックトークカフェ」では、身近な本を通じて、武蔵小杉周辺の人々が交流する場を提供しています。一人ひとりの好きや感じ方の違いを聞き合い、その違いを豊かなものと感じられる空気を大切にしています。

 

ブックトークカフェ#16 ~みんなでつくるまちの図書館~ 「悪い本、あつまれ!」

11月12日のテーマは「悪い本、あつまれ!」。書店に行くと、楽しい本や安らぐ本がたくさんありますが、それらの本に挟まれて「悪い本」もあります。普段は、人と話し合うことが少ないかもしれない、取り去りたくても取り去ることができない人間の性である「悪」というテーマについて、考えてみました。ひとことで「悪い本」と言っても、本自体に中毒性や魔性がある、テーマや登場人物に悪の要素が含まれている、悪そのものについて考える哲学的な本など、いろいろな解釈ができます。さて、どんな本が集まったでしょうか?

今回は、みんなにすすめたい本!というよりも、このテーマでピンときた本を持ち寄っていただきました。

 

・「ブラック企業VSモンスター消費者」 (著・今野 晴貴 , 坂倉 昇平)

「悪VS悪」の構造について考えてみたくて、図書館で借りてきた。どちらが先にはじめたのか?どちらがどれだけ悪いのか?便利や豊かさを求めていたはずなのに、相乗効果で悪に堕ちていっている感覚。

「自分は加担していないだろうか?このループから抜けるために自分にできることとはなんだろう?」という問いかけから、「求めすぎない、多少の不便も心地よく感じられる自分でありたい」、「不満の声は大きく強いが、満足についても表明したい」などの対話に発展しました。

 

・「昔話法廷」(著・今井 雅子, 編集・NHK Eテレ「昔話法廷」制作班)

悪、あるいは罪とその裁きについて考えるために、紹介した。なじみ深い昔話をモチーフに、「昔話の主人公たちが訴えられたら?」という設定で作られたTV番組を、書籍で再現したもの。「善悪の区別はどこでできるのか」、「悪意があるかどうかの証明は難しい」という意見がありました。別の場を設けて、大人同士で対話してみたいというアイディアも出ました。

※昔話法廷の動画はこちらからご覧になれます。http://www.nhk.or.jp/sougou/houtei/

 

・「怪談えほん (1) 悪い本」(著・宮部 みゆき,監修・東 雅夫,イラスト・吉田 尚令)

そのものずばりの「悪い本」。とにかく絵が怖い。「わたしの中に必ず悪はあるのよ」と、心の中のしまっていた部分に迫ってくるようで戦慄するが、それとどう付き合っていくのかが、大切なのではないかと思った。怪談えほんシリーズは、ほかの本も怖いものばかりなので、「なぜこの本をつくったのだろう?」という話にもなりました。

 

・「にんげんごみばこ」(著・のぶみ)

非常に衝撃的なタイトルと内容の絵本。作者のメッセージは理解できるが、自分は子どもたちに絶対に読ませない。「子どもたちに読み聞かせる絵本として、この表現は適切なのだろうか?」と物議を醸しました。

 

・「悪 (考える絵本)」(著・石坂 啓)

「自分の中にはいい子と悪い子がいるみたい」と気づきはじめた子どもに紹介したい絵本。だれでも悪いことを考えたり、してしまったりする。そのような自分の中の「悪」の部分を恐れすぎたり、否定することなく、まずは「どんな自分も自分である」という肯定を、絵と物語から感じられるといい。大人が読んでも考えさせられる。

 

後半は、「手ぶくろを買いに」(著・新美南吉) を参加者の皆さんと読んで、感想を話しました。

小学校の教科書に載っていたのを思い出して懐かしさに浸りながら、改めてじっくりと読んでみました。このお話の中でやはり印象的なのは、最後のきつねのお母さんの「ほんとうに人間はいいものかしら。ほんとうに人間はいいものかしら。」という言葉です。今読んでも何かずしりとくるものがありました。

その他にも、お母さんにどんなトラウマがあったのか、人間と動物は共生できるか?、ここでの動物は何か別のもののメタファーではないか?、帽子屋さんはお金が本物でなければ売ってくれなかっただろうか?などの疑問や、雪景色や街灯りや月の描写の美しさ、子どもの頃とは、また違う感じ方にも注目した感想が出ました。

 

本について話しながら、武蔵小杉のまちの移り変わりや消えていった小さなお店のこと、本は必ず本屋さんで手にとってから買うというポリシー、考えることや感じることを続けていく決意など、一人ひとりの日々の小さな営みを大切にしたい気持ちについても、聞き合い、意見を交換する、奥深い時間となりました。

 

ブックトークカフェは、10人定員の少人数でひらいていますので、読書会に参加したことがない方も、どうぞお気軽にご参加ください。個人的な営みである読書をちょっと外にひらいてみるのは、とても楽しい体験ですよ。

 

次回のブックトークカフェは、 12/17(土)14:00 ~ 16:30

テーマは「2016年をふりかえる本、あつまれ!」です。本を語ることから見えてくる、自分と他の人の1年を聞き合ってみましょう。

お申し込みはこちらから > http://everevo.com/event/35521

ご紹介していただく本は、ご自宅の本棚から選んでも、図書館で借りても、書店で購入してもルートはなんでもOK。植本用の本もお待ちしております!

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